公共図書館利用者の非来館型サービス提供環境

 

上福岡市立市民図書館におけるインターネットに関する調査から

 

田村 英彰

 

1 本稿の問題意識と構成

 

1.1 電子的サービスと非来館型利用

 

 昨今、公共図書館においても電子図書館サービスの導入が進んでいる。これは、図書館のさらなる広域利用のきっかけとなるであろう。本稿では、これに対する利用者の環境について、些少の分析を行いたい。

 貸出は、図書館から自宅に持ち帰って自由に読書ができるという点で単なる来館利用を越えたサービスである。逆に言えば、貸出以外の図書館サービスは、来館しなくては利用ができないという制約があったわけである。但し貸出についても、来館しなくては利用ができないという点で、空間的制約は残っている。

 OPACeメール・レファレンスといった電子的サービスは、この「来館型」の利用形態にもとづく制約を越えうるという意味で、画期的といえる。貸出以上の「非来館型」利用の可能性が見えてきたのである。来館せずとも「いつでも、どこからでも」利用ができるということは、「来館しにくい利用者」に利点をもたらす。すなわち、平日昼間就業している職業人・図書館から遠い地域に住む利用者・高齢者や移動に障害をもつ人々が考えられる。しかしサービスの手段として電子的サービスを考えるとき、電子的なサービスを受けられる環境を既に用意している利用者と、電子的機器に不得手な利用者がいる。いわゆるデジタル・デバイドの問題が生ずるのである。

 ところで、これまで「非来館型」利用に用いられてきた手段は、図書館協力事業におけるFAXであった。図書館間での連絡伝達にFAXは、書面を送付するという点において効用が大きい。そこで、電子的サービスの登場によって一般利用者サービスの広域化・非来館型利用が注目されるにあたり、代替手段としてFAXについても焦点を当ててみることとしたい。FAXは、電子的手段に比べ扱いが容易であるため、電子的な情報弱者にも効用をもたらしうるからである。

 

1.2 本稿の構成

 

 本稿では、20008月に上福岡市図書館協議会が行なった利用者アンケートを分析する。このアンケートは、後述するように簡単ながら、図書館におけるインターネット活用のための予算要求に先立って行われた。当時筆者は同協議会の委員として参加しており、従来よりこのデータの分析を行ってみたいと考えていた。協議会委員長及び図書館に問い合わせたところ、利用について快諾を得た。

 以下本稿は、次のような構成をとる。

 まず第2章において、文書型レファレンスの効用とFAXによる補完について、筆者の視点を述べる。この視点は、アンケート作成段階でも部分的に反映されており、来館の制約を越えて非来館型(遠隔)利用への拡張を意図するものである。

 次に第3章で、インターネットの利用状況など情報化に関する一般的な調査に触れておく。

 第4章においては、アンケート分析に先立ち、上福岡市立市民図書館の現状の紹介と、上福岡市民の情報化への期待を概観する。

 第5章では、アンケートの設問と単純集計、特に標本と母集団との関係について述べる。

 そして第6章で、クロス集計等を行って得られた知見を述べる。特に、電子的環境に強い層を析出する一方、電子的な情報弱者と見られる層をFAX等で手当てができるのか検討する。

 

2 「書かれたレファレンス」の効用とFAX

 

2.1 文書型レファレンスが拡張する非来館型利用

 

2.1.1 従来の貸出サービスへの疑問と安易な「電子図書館」

 

 電子的サービスとの対比においてFAXの効用を考える上で、特にeメールによる問い合わせ(レファレンス)サービスについて、述べておきたい。なぜFAXに注目するか、ということである。

 昨今、公共図書館に対して、貸出サービス偏重との批判が図書館界内外から寄せられるようになった。これに対して、図書館界は有効な回答をなしえていないように思われる。それでは、図書館は貸本屋と同じなのであろうか。

 その回答のひとつは、レファレンス・サービスにあると思われる。

 貸出対出版流通の問題として採り上げるなら、もちろん蔵書構成の問題があろう。しかし、ことはそう単純ではない。公共図書館はこれまで貸出サービスを中心に展開してきた。蔵書構成の問題を考えるにしても、この活動の中心軸そのものに、疑問が呈されていると捉えるべきなのではないか。図書館サービスの本質はどこにあるか、という意識にもかかる問題なのではないだろうか。

 加えて、地方分権や財政縮減・経営合理化の波に洗われるなか、対応策として情報化・「電子図書館」化を押し出していこうとする動きがある。しかし、これも窮余の策にすぎないように思われる。なぜなら、電子的サービスとは何かと問えば、「いつでもどこでも利用できる」という点では意義があるものの、ホームページは図書館だより・利用案内等広報の電子版だし、インターネット上におけるOPACの公開は、要は目録の電子化にすぎない。電子的サービスとはその特性に応じた何か特別なサービスか、といえば多くの場合、単に新たな「伝達手段にすぎない」のである。何か別の形で具体的サービスが既にあり、その形を変えているだけなのだ。図書館サービスとしての本質は、変わっていない。図書館の電子化は、それだけでは何か新しいサービスを提供するものではない。

 それでは、eメール・レファレンスはどうだろうか。筆者はそこに、貸本屋を打破し、単なる電子化を越える視点があるのではないかと考える。

 

2.1.2 eメール・レファレンスの本質=文書型レファレンス

 

 図書館にとって、eメールのような書面による問い合わせは、これまでまるでなかったわけではない。身体的な移動ができない高齢者からの手紙での問い合わせは、わが図書館でも経験がある。

 しかし、レファレンスというと、たいていは来館による口頭のサービスと考えられている。図書館学の教科書には、「レファレンス・プロセス」や「レファレンス・インタビュー」といった用語が並んでいるが、たいてい面談・口頭型のレファレンスが想定されている。来館という制約を離れた、面談以外のレファレンスの形態としてはせいさか、電話によるものであろう。電話による問い合わせは、FAXや手紙と比べれば、むしろ一般的である。しかしこれは口頭型レファレンスの変形である。 

 eメールによるレファレンスは、「文書によるレファレンス(書かれたレファレンス)」という点で、口頭型レファレンスとは異なった特性をもつ。

 すなわち、非同期型コミュニケーションであるために面談を前提としたインタビューの技法が使えない。反面、口頭によらないために、「話す-聞く」という一次元(線)的な情報伝達ではなく、ニーズ探索等においても「読み」による構造的理解が可能である。つまり、口頭でいういわゆるファースト・クエスチョンと聞き返しの技法を使うまでもなく、求められている情報はどのようなものか、既に判明している書誌的情報や照会済の情報源等、口頭型レファレンスであれば逐次問い直すようなことを、「書かれた」文書から構造的に読みとることができる(Sloan, 1998)。

 また非同期ゆえの大きな特徴として、いつでもどこからでも受け付けることができる。この点に再度注目しておくと、eメールの「いつでもどこからでも」というイメージは、実は「文書型」という非同期コミュニケーションがもつ特性であって、既に実現しうる媒体が存在している。「書かれたレファレンス」は、手紙・FAXにおいても同様な特性をもつのである。eメールにはデジタル・デバイドという問題があるが、そこですくいきれないサービス対象に対しては、同等に文書型レファレンス・サービスを展開する手法として、手紙やFAXが考えられてよいだろう。

 文書型に由来する「サービスの広域化・24時間化」については、さらに注意を促しておきたい。これまで述べてきたとおり、図書館は、貸出においてすら来館型利用の制約があった。既にさまざまな調査結果から知られていることであるが(例えば植松・緒方, 1985)、来館しなくては利用ができない以上、公金を投入して運営していながら、勤労者や遠隔地住民、移動の困難な利用者層には、利用が遠いものであったことが示されている。しかし、全利用者層の(来館)利用圏網羅のための分館建設はいずこにあっても財政事情逼迫の現在、現実的ではないし、仮に分館建設が実現したとして、来館して利用してもらうという同じ発想で先に挙げた利用者層が「来館」できるかというと、ことはそう単純ではなかろう。来館利用のためのアクセスポイントの増設ばかりでなく、「来館できない利用者にもなんらかのサービスを提供する」という観点こそ必要ではないだろうか。

 「書かれたレファレンス」サービスは、貸出偏重、安易な電子図書館、来館の制約を越えて、質的なサービスの方向性として提案するものである。このような考え方があって初めて、eメールによる問い合わせサービスがあり、それを補完するものとしてFAXや手紙によるサービスも考えられよう。

 

2.2 eメールとの対比におけるFAXの特性

 

 FAXの特性について付言しておくと、レファレンスのような一対一のサービスの場合、eメールとほぼ同等の機能を実現できる。転送速度では手紙は明らかに遅いが、FAXは実のところ、eメールより早い。eメールもFAXも送信と同時に配信されるが、eメールは受信者がメールボックスを開かなければ実際には届かない。FAXは紙が排出されるため、着信が物理的に確認される。

 レファレンスをeメールで行うならば、電子テキストであるというeメールならではの長所が活用されるべきであるが、特性を活かした例は筆者はあまり聞いたことがない。eメールならば早いかというと、調査を行うためには図書館で一定の時間が必要となるので、eメールでもFAXでも返信の迅速性は保証されない。eメールの長所である、複数の宛先への同報機能は、レファレンスの場合には有効とは言えない。利用者に対して再度問い合わせる際に元文書をコピーしてやりとりがしやすいくらいであろうか。インタビューという局面では、チャットの如く同期的にメールを頻繁にやりとりすることも考えられるけれども、これは質的には電話の延長に近く、地域の公共図書館の場合には電話の方が便がよい(電話代が高くつくほどの市外通話の場合はまた違ってくるが)。レファレンスを受ける側の協力態勢(レファレンス・ネットワーク)の中では、回付が容易という点で効果があるかもしれないが、これは利用者との直接的な対応の局面ではなく、図書館協力における利点である。

 FAXeメールと大きく異なるのは、むしろ電子テキストでないために、手書きで紙に書き込んで送ることができるという点である。この点は、パソコンを扱えない層、特にキーボードに慣れていない層にとって扱いが容易であるという意味で、大きな強みとなる。

 この点は実は、問い合わせを受ける図書館側にとっても、活字で書かれたものより書き方などから相手の文意を酌み取りやすいという点で有利である。eメールの中に活字で書かれた書誌事項などはつい信頼性があるような気がしてしまうが、FAXで典拠となった資料のコピーを添付された方が調査は確実・迅速になる。既になんらかの資料にあたっている場合には、その典拠の提示が調査に有益であり、それが紙資料であれば問い合わせの申込み自体がハイブリッドでありうる。情報がすべて電子化されている世界ならばまだしも、図書館で扱うものであればなお、問い合わせに対する回答もまた紙資料をもとにして行うことが考えられる。ということは、図書館からの回答も同じハイブリッド化の憂き目を見ることになるのである。紙媒体と電子媒体のハイブリッドは、図書館資料ばかりではなく、図書館における作業媒体にあっても論ずるに値する問題なのだ。

 いずれにせよ、eメールを導入するならば、導入コストに見合う特性に応じたメリットが望まれる。なんでもかんでも電子化すればよい、というものではないだろう(頭の悪い財務部門からは「IT化だ!」といえば予算はとりやすいだろうが)。同じ効用ならば、FAXの活用も考慮すべきである。そしてそのことが、電子的な情報弱者にも途を開くのであれば、なおさらのことではないだろうか。

 本稿における分析においては、電子的環境の整っている利用者の特性、及び電子的な情報弱者と考えられる層の傾向について見たい。

 

3 日本情報処理開発協会『情報化白書2001』に見る情報化の進展

 

 本章では上福岡市の事例分析に先立って、標掲書により、19992000年時点での日本における一般的な情報化の進展について触れておく。

 まず、1999年での個人あたり普及率は、インターネット14.5%、パソコン28.7%、携帯電話44.9である(日本情報処理開発協会, 2001, p.398 図表1-1)。以下各節ではのちの章に関連する形でパソコン、携帯電話、FAXについて見ることとする。公共図書館の非来館利用のための環境(端末)として見るために、次のような観点を挙げておこう。

  • 職場ではなく、「自宅での普及度」。電子的環境については、職場でインターネットが使えるとは限らないし、居住地域である自宅での接続こそが個人ベースである図書館利用には便がよい。またFAXの場合は、携帯電話等と違い、個人単位ではなく世帯単位での保有となる。
  • パソコン及び携帯電話の場合、「インターネットへの接続率」。非来館型利用のためには、ネットワークに接続されていないと意味がない。保有のみを扱う場合、今後ネットワークに接続しうるという可能性において採り上げる。
  • 個人レベルでの利用可能性」。図書館の利用は通常、個人単位であるため。そもそも携帯電話は世帯単位ではなく個人単位の利用しかありえない。なお本稿で携帯電話に注目するのは、真に「いつでもどこでも」使えるネットワーク端末としての環境が発達しつつあるためである。

 

3.1 自宅におけるパソコン利用とインターネット接続

 図表3-1は、「パソコンが自宅にあるか/自分で使っているか」について、1997年と2000年での比較である。まず、パソコンが「自宅にない」比率が2/3あったのが、半分を割る値にまで減っている。このことはつまり、ネットワーク端末として機能しうるパソコンが、自宅で半分を越えたということを示している。また、実際に「自宅で(自分で)利用」している人々は、2割弱から1/3まで増加している。

 図表3-1 パソコン保有・利用実態の推移

(日本情報処理開発協会, 2001, p.444 図表3-3 により作成

 次に、「自宅のパソコンでのインターネット利用実態の推移」についても、同じ20011月の調査から統計が出ている。自宅でパソコンを利用している人を100%として、1997年は34.6%、2000年は69.6%であった(日本情報処理開発協会, 2001, p.445 図表3-5)。図表3-1の値を組み合わせて全体に占める率を算出すると(自宅での利用率×インターネット利用率)、1997年は5.9%、2000年は22.8%となる。「自宅のパソコンによるインターネット利用者」は、2割を越えているのである。

 

3.2 携帯電話とインターネット接続

 

 続いて、携帯電話によるインターネットの利用状況を見てみよう。

 図表3-2 自宅のパソコン及び携帯電話でのインターネットの利用の現状

(日本情報処理開発協会, 2001, p.445 図表3-6 により作成

 「携帯電話の個人利用率の推移」によれば、1997年の35.7%から2000年は69.8%にまで伸びており(日本情報処理開発協会, 2001, p.444 図表3-2)、急速に普及している。20011月の調査では、携帯電話利用者を100%とした「携帯電話利用者の携帯インターネット利用状況」は19.8%であった(日本情報処理開発協会, 2001, p.445 図表3-4)。携帯電話そのものの普及率やそのインターネット利用率を見ると、個人的利用におけるインターネット端末としての可能性が無視できないことがわかる。図表3-2によれば、パソコンとの重複はあるものの、自宅における携帯電話によるインターネット利用者は、1割を越える

 

3.3 FAXの普及率

 

 図書館の非来館型サービスに対応しうる、パソコン及び携帯電話のインターネット利用状況について見てきたが、最後にFAXの普及率について見ることにしよう。図表3-3は内閣府「消費動向調査」を元に各機器の普及率を示したもので(各年3月末)、パソコンとFAXのみ値を表示した。

 3.1パソコン、3.2携帯電話と同じ2000年で比較すると、FAXの普及率は、3割を越えている

 パソコンそのものに比べFAXの普及は劣っているが、3.1で見たとおりパソコンは、自宅にあっても利用されていなかったり、利用されていてもインターネットに接続されている割合は2000年時点でも7割程度であった。結果として、自宅でインターネットに接続して利用されているパソコンの割合(2割)と比べると、FAXの普及率(3割)の方が上まわっている

 図表3-3 世帯におけるAV機器及び情報通信機器普及率の推移 

(日本情報処理開発協会, 2001, p.443 図表3-1 により作成

 

4 上福岡市立市民図書館の概況と情報化への期待

 

4.1 上福岡市立市民図書館の概況

 

 上福岡市は埼玉県西部、川越市に隣接する、東武東上線沿線の人口約5.5千人の市である。

 現在の図書館は市民運動によって1994(平成6)年に建設されたものであり、市民の関心は高い(上福岡市図書館利用者懇談会編集委員会, 1994)。市民図書館は市のほぼ中心に位置しており、図書館を中心とする半径1,000kmの円内に、市域全体の78割、商店街・住宅地等主要部がほとんど含まれる。市民図書館のほか、西公民館図書室と移動図書館(4小学校等を巡回)を運営している。自治体を越えた協力態勢としては、近隣の入間東部地区図書館連絡協議会に加盟している富士見市・大井町・三芳町と連携をとっており(上福岡市を含め二市二町)、相互利用・連絡車の運行を行っている(上福岡市教育委員会社会教育課, 2000)。

 ここ数年来の活動実績は、1999(平成11)年度市民一人あたり貸出冊数10.8冊。「市区町村立図書館人口段階別集計」(日本図書館協会図書館調査委員会, 2000, pp.22-23)を見ると、人口5万人以上6万人未満のクラスで人口100人あたりの貸出点数において全国一、二を争ってきたほどであった。

 累積登録率は、市全体で46.0%(1999年。図書館協議会資料による)。地区別に登録率を見ると地域的にむらがあり、単純に遠距離だから低いという以外に、市民図書館から見て南西に走る東部東上線の線路より向こうの地域と、駅正面から伸びる太い自動車道(県道)より北西の地域の登録率が比較的低い。対して、登録率が最も高い市民図書館近隣地域でも74.2%であった。つまり登録率から見る課題としては、「線路向こう」「自動車道向こう」「近いけれども来ていない」という、以上3点の、来館という観点で未開拓な利用者層にいかにして利用してもらうか、ということである。

 さらに近年の課題としては、貸出点数ではすでに飽和状態にあり、新たな図書館サービス像を描く必要がある。1999年度貸出点数の前年度比伸びの要因は、市外登録者の増加・貸出上限冊数の緩和・ベストセラー等複本の購入拡大等が考えられている。1999年度までの全登録者に占める市外登録率は27%であるが、川越市は16%と他市町よりも格段に高い(特に10代。自転車の行動圏らしい)。まさに、貸出については「やれることはやった」上での伸長であった。それでも2000年度においては、月末整理休館日を廃止し、開館日増によって貸出冊数増を見込んでいる。

 以上のことから上福岡市立市民図書館における問題状況をまとめると、来館・貸出中心のサービス方針には限界が来つつあるといえよう。貸出サービスについては最高点に近い現状を維持しながら、来館しにくい層に対しいかなる対応を考えていくかが問われてきている。「来館しにくい」とは、線路などによって生活動線が離れている場合であったり、平日の昼間は就業しているために開館時間と生活時間がずれている、高齢者のように移動に身体的な障害がある等が考えられる。

 無論、資料群の中から個別の本を手に取ってみて初めて利用が考えられるものである以上、来館というモメントは図書館サービスからはずせないものである。しかし、電子的に提供しうるサービスの効用を端的に考えてみても、来館せずとも所蔵の有無などの情報を得られたり、来館に誘導するために情報提供を行うことはあってよいだろう。資料提供はなくても、そこに至る前段階の「情報」提供や求める「情報」そのものが、「いつでもどこでも」入手できるかどうか、である。

 また実際、2000年には前項で見たとおりインターネットの普及が急速に進みつつあり、各地域で公共図書館においてもインターネットを利用したサービスが始められてきていた。こうした状況が、2000(平成12)年度に図書館協議会に対して電子的サービスにつき諮問がされた背景であった。

 なお、上福岡市立市民図書館では貸出ばかりに力を注いでいるわけではなく、講座・集会・展示を毎月頻繁に行っており、集会室も年をおうごとに利用されていることを追記しておきたい。文化の日の図書館フェア、玄関ホールでの音楽会など、その積極性は大いに評価されるべきである。

 既存の貸出中心のサービス打破を考えるとき、来館を制約と考えるだけでなく、「場としての図書館」活用への注視もある。上福岡市立市民図書館の現状は、この「貸出以外の来館機能」という側面においても充分な実績があると思われる。なればこそ、次の展望が望まれるのである。

 

4.2 「利用者アンケート」の目的及び調査の方法

 

 上福岡市立市民図書館では1999(平成11)年度に電算システムのリニューアルを終え、2000(平成12)年度に図書館協議会に対し、電子的サービスの展開に関する諮問を行った。審議の末まとめられたのが答申「インターネットを活用した図書館サービスについて」(平成121128日)である。まとめるに際しては一般市民の声を聞いてみることにし、来館利用者を対象としたアンケート調査が実施され、5.1で示すような集計結果が答申本文に参考資料として添付された。この調査には特段に名称がないため、以下本稿では「利用者アンケート」と呼ぶことにする。

  • 調査期間: 2000(平成12)年81日〜820
  • アンケート依頼の方法: 図書館本館内の記載台に用紙を置き、来館者が自由に記述。図書館では声をかけるなど回答を促す措置はしていない。
  • 有効回答数: 480

 自発的な記入を求めるアンケートという意味では、この「利用者アンケート」は利用者(来館者)全体もしくは上福岡市民といった母集団の性格を正しく反映するとは限らない。あくまで来館者のうち、さらに図書館運営に積極的に意識ある人々の「意見聴取」といった位置づけとなる。

 ただし調査期間について指摘しておくと、小中高校が夏休み期間中であるだけでなく、土日が3回、またいわゆるお盆を含んでいる。つまり、普段利用しない市民が来ている可能性が高い。

 

4.3 上福岡市『情報化に関する市民意識調査』に見る情報化の現状と期待

 

 本稿で対象とする「利用者アンケート」は、来館利用者の一部による回答である。しかし上福岡市では、「上福岡市情報化基本計画」(平成13年度)の基礎調査として、「情報化に関する市民意識調査」を行なっていた(上福岡市総務部情報推進室, 2001年)。「利用者アンケート」を扱う前に、市全体の傾向を知るために、この調査のうち本稿の情報化に関連する項目についてのみ触れる。

 

4.3.1 調査の設計
  • 調査対象: 1865歳の男女
  • 対象数: 2,000
  • 調査方法: 郵送配布-郵送回収
  • 回収数: 958人(47.9%)
  • 調査期間: 1999(平成11)年1129日〜1213

 

4.3.2 上福岡市民の情報通信機器利用状況と情報化への関心

 図表4-1を見ればわかるとおり、携帯電話・PHSの利用が半数を越えている。3.2で見た全国データに近い値である。また現状において注目すべき点として、FAXの利用がパソコン・インターネットを上まわっている(これも3.13.3で見た全国値にかなり近い)。しかしパソコン・インターネットは、将来において利用したいメディアとしては他と比較にならない。今後の伸びが予想される。

 図表4-1 情報機器の利用状況(複数回答)

 

(上福岡市情報化推進室, 2001, pp.7-11 により作成

 図表4-2においても、この傾向を読みとることができる。マルチメディアへの関心は「非常に関心がある」「やや関心」を含めると3/4を占める。反面、現状は、自宅でのインターネット環境は未整備な家庭が6割あり、自宅で接続環境をもつのは1/3であった。これも3.2で見た全国データに近い。

 図表4-2 マルチメディアへの関心と自宅でのインターネット利用

(上福岡市情報化推進室, 2001, pp.7-11 により作成

 図表4-3は、行政の情報化についての設問選択の結果である。一般の行政事務、医療行政に関する情報化がまず望まれているが、図書館に関する項目についても上位に食い込んでいる。設問選択の形自体が誘導的ではあるのだが、自治体行政の情報化全般における図書館の位置づけが垣間見える。

 なお行政情報に関するFAXサービスについても、3割程度の選択があったことに注目しておきたい。図表4-1FAX支持層が3割程度存在していることと関連するだろうか。

 図表4-3 利用を望む行政の情報化事例(複数回答)

※上位6項目を掲載

自動交付機により、祝・休日や夜間でも住民票、印鑑・税証明を受ける

64.8

コンピュータなどの先進技術を利用して、自らの健康管理や医療情報を入手できる

40.8

電話、街頭端末機や自宅パソコンから公共施設の予約情報の検索や利用申込ができる

34.9

電話、街頭端末機や自宅パソコンから図書館の新書案内、蔵書検索、貸出予約ができる

32.0

市のさまざまな情報が自宅ファックスから取り出せる

29.4

小中学校のパソコン教育を充実し、情報化教育の充実を図る

26.5

(上福岡市情報化推進室, 2001, pp.7-11 により作成

 

5 上福岡市図書館協議会「利用者アンケート」調査概要

 

5.1 「利用者アンケート」の設問と単純集計

 

 図表5-1は、「利用者アンケート」の設問と選択肢、その単純集計である。

 図表5-1 「利用者アンケート」集計結果

 

 設問1「ホームページを見たことがあるか」という質問について、半数以上が見たことがあるとし、そのうち2/3近くが、「家庭で見ている」と回答している。つまり、回答者全体の約1/3が自宅にパソコンによるインターネット環境をもっていると言える(全国、上福岡市とほぼ近い値)。

 設問2「メールアドレスをもっているか」という質問については、「もっている」が半数近くとなった。メールアドレスが個人に属している点を勘案すると、自宅パソコンでのインターネット環境だけでなく、携帯電話や職場でのアドレス付与、ウェブメールの取得といった要因があると考えられる。

 設問3「家にFAXがあるか」という問いは、非電子的な非来館(遠隔)サービス環境にあるかということを問うものである。半数が「ある」と回答した。これは3.3で見た全国データよりもさらに多い。設問1、2の回答と比較すると、自宅のインターネットより普及しており、メールとはほぼ同率である。

 設問4「専用携帯電話をもっているか」という問いには、約1/3が「もっている」と回答している。これは3.2で見た全国での普及率よりもずっと少ないが、パソコン以外のメールアドレス保有に一定程度の寄与があると思われる。

 設問5では、レファレンスの経験を訊いた。半数以上が「ある」と回答しており、回答者全体の傾向として図書館をよく活用している層が多いことがわかる。

 設問6では、図書館によるインターネットサービスのニーズを訊いた(サービスの項目を用意し、複数回答)。希望が多い順に「資料検索」「予約」「ホームページを見る」「利用案内」「メールによるレファレンス」という結果になった。貸出を中心とする利用に対する希望がホームページによる案内よりも圧倒的に多く、検索・予約ともに全回答者の半数を超えている。一方、最も少ない「メールによるレファレンス」の回答者も2割おり、図書館をさらに便利に活用したいという利用者層が一定程度存在していることを窺わせる。

 

5.2 標本と母集団の関係

 

5.2.1 上福岡市立市民図書館の累積登録者数及び調査期間中の本館貸出者数との比較

 

 「利用者アンケート」では、設問7が回答者の性別、居住地、年齢である。「利用者アンケート」の回答者が母集団をどの程度代表しているのか、ここで見ておく。残念ながら上福岡市全体の年齢別・男女別人口構成を入手していないため、上福岡市全体との比較はできなかった。

 以下では標記のとおり、利用者全体の母集合として累積登録者数、調査期間中に本館の来館利用者の母集合として本館の貸出者数を挙げて、「利用者アンケート」の標本と比較する。なお、図表5-25-3の元となる統計値は上福岡市立市民図書館から提供された。「利用者アンケート」と比較するため、年齢を012歳(小学生以下)、1318歳(中学生以上)として集計し直してある。 

 2000(平成12)年度末現在の地区別住民基本台帳人口は、54,884人(男27,539人、女26,910人)。上福岡市の累積登録者数から登録率を出すと、50.7%。入間東部地区の富士見市・大井町・三芳町は8.9%しかないが、それ以外に市外登録は19.9%もいる。川越市の登録が大きい。

 図表5-2 居住地別・男女別累積登録者数(2000年度末現在)

 図表5-3は、調査期間(20008120日)の貸出者数の年齢別構成比を年間と比較、また2000年8月と月平均の貸出者数を比較したものである。調査期間と2000年度の年齢別構成を見ると、夏休みだけあって小学生以下と中学生以上の割合が高くなっている。しかし、調査期間を含む8月の実数と年度月平均の比をとると、全体としても3割増、確かに小学生以下・中学生以上は7〜8割増であるところ、3050代も月平均の約2割増で来館していることがわかる。

 図表5-3 年齢別貸出者数(上福岡市立市民図書館本館のみ)

 

5.2.2 「利用者アンケート」回答者の傾向

 

 まず年齢である。図表5-4は、これまでに見た年齢別構成比を「利用者アンケート」回答者と比較したものである。来館者(調査期間)と比較してみると、アンケート回答者とのズレは全般に5%程度で、各年齢層を代表する程度に散らばっている。

 ただし、来館者がかなり多い小学生以下ではまだ関心がないのか回答が少なめだったが、中学生以上と30代がかなり多く、関心が高いことを物語っている。また50代は少ないが、壮年層である20代から50代までを合算すると70.3を占める。

 図表5-5はアンケート回答者の男女別・居住地別内訳、図表5-6は累積登録者とアンケート回答者の実数を男女、上福岡市と市外在住とで各年齢層ごとにグラフにして比較してみた。

 性別では、回答者の男女比はおよそ1:2である。上福岡市の人口からすればもちろん男性が少ないが、累積登録者を見ても主な利用者である50代以下は女性の方が多く、回答者ではさらに小学生以下・中学生以上・30代の女性が各年齢層を押し上げている。図表5-4年齢別の結果と組み合わせると、中学生以上と30代で積極的な関心をもって回答したのは、女性であると思われる。

 居住地は上福岡市が3/4で、市外登録者が多いことをそのまま反映している。「その他」のほとんどが川越市であった。累積登録者と比べると、回答者は30代、40代に市外居住者が多い。

 図表5-4 アンケート回答者の年齢別構成比(比較)

 

 図表5-5 アンケート回答者の居住地・男女別内訳(年齢別)

 

 図表5-6 アンケート回答者の居住地・男女別内訳(累積登録者と比較)

 

6 「利用者アンケート」の分析

 

 まず、電子的環境と非電子的環境によって標本を仕分ける。

 次に、電子的環境に関する属性を見る。また、非電子的環境に関する属性と、電子的環境を保有していない層の傾向を見る。

 

6.1 個人的な電子的環境とFAX

 

 ここでは回答の選択肢の中から、「自宅でHPを見たことがある」「メールアドレスをもっている」人々の和集合を「個人的インターネット環境保有層」として扱う。インターネット端末として携帯電話が発達している状況も勘案し、ホームページだけではなくメールアドレスにも注目した。メールはウェブメールも含め、いずれにせよ個人に属するものであり、図書館に対して文書型レファレンスに用いることができる。

 図表6-1 個人的インターネット環境保有層とFAX、メールアドレス

HPinHomeOrMailは「自宅でHPを見た」または「メールアドレスをもっている」、othersは「自宅以外でHPを見たことがある」、No_Internetは「HPを見たことがないしメールアドレスもない」。

 図表6-1では、設問1-1から「家でホームページ(以下HP)を見たことがある」=自宅でインターネットに接続したパソコンがある、と読み替えている。第1表はメールアドレスが個人に属している点に着目して、電子的環境として設問2「メールアドレスの有無」を組み込み、非電子的な非来館型サービス環境としてFAXの有無とかけあわせて重複を見たものである。また第2表は、「家でHPを見たことがある」者のうち、メールアドレスをもっている層との重複を見た。

 第1表からすると、「自宅でHPを見られる」=インターネットパソコンがある比率は33.5%であり、「FAXをもっている」49.8%よりも少ない。しかし、メールが使える層と和集合をとると(HPinHomeOrMail)、個人的インターネット環境保有層は52.3%でFAXと同等と見ることもできる。これに職場等自宅外でのインターネット環境経験者を加えれば、66.2%にものぼる。

 FAXはインターネット経験のない層よりも個人的インターネット環境保有層の方が所有しており、この来館してのアンケート回答者の中では電子的環境に強い層もまた、多くはFAXももっていることがわかる。逆に、インターネット経験のない層は、その半分以上がFAXももっていない。HPを見ているが自宅ではない層を加えれば、個人的インターネット環境をもっておらず、FAXで補完できるのは20.0であることがわかる。

 メールアドレスについては第2表によれば、自宅にインターネットパソコンがある層はやはり多くはアドレスを取得していた。しかし、自宅にアドレスがなくほかの環境でもっていることは予想していたが(18.8)、メールがなくかつ自宅でインターネット環境がない層が47.7%もいたことは驚くべきであろう。つまりこれらは、まるでインターネット経験がないか、自宅外でインターネット環境があっても、単にHPを見ているだけ、ということが想像される。

 

6.2 個人的な電子的環境と属性

 

 次に、電子的環境に目を向け、その属性について内訳を見てみよう。電子的な環境に強い層と、情報弱者はどこであるか。図表6-2は、個人的インターネット環境保有につき、各年代別の構成比を見たものである。

 図表6-2 個人的インターネット環境保有の年齢別内訳

 

 これによれば、個人的インターネット環境保有者は、20代・30代が多いことが明らかであり、合わせると半数を占める。男女別では、男性が20代・30代・40代、女性は中学生以上・20代・30代で多く、それぞれ合わせると7割を占める。自宅以外でのインターネット経験者は、小学生以下・中学生以上が多い(特に女性)。インターネット経験がないのは、60代、ついで30代・中学生以上が多い。女性が30代・40代と比較的散らばっているのに対して、男性が60代に集中している。

 

6.3 FAXと属性

 

 続いて、FAXの保有とその属性について見てみよう。

 FAXは「あり」も「なし」も全体の構成比とあまり 大きな違いがないが、保有が比較的多いのは、中学生以上・30代であり、保有していないのは、20代・30代である。しかし男女別に見るとばらつきがあり、女性は中学生以上・30代に保有が多いが、保有なしもまた30代に多い。男性は50代・60代に保有が比較的多いが、保有なしも60代が多い。

 図表6-3 FAX保有の年齢別内訳

6.4 電子的情報弱者とFAXの可能性

 

 図表6-4は、個人的なインターネット環境を保有していない層が、FAXが利用可能かどうか見たものである。

 6.1で見たとおり、個人的インターネット環境保有層を除くと、FAXのみの保有者は総計で20.0%(自宅以外にインターネット環境をもつ層を含む)。残念ながら、残るFAXももっていない層を上まわることはできなかった。この20.0%の内訳を示したのが、グラフである。男性は総数自体が少ないこともあって、FAXも女性の方が値を押し上げている。

 実数の上では中学生以上・30代・小学生以下が多いが、個人的インターネット環境保有層との対比で見た場合、50代・60代のFAX保有に着目したい。特にこの年代はFAXももっていない層としても大きいが、個人的インターネット環境保有層とFAXのみ保有層は、ほぼ同数であり、他の年代とは状況が異なると言えよう。インターネットだけでなく、FAXも含めて機器の操作に苦手な人の割合が高い。その中で、FAXのみ扱えるというのは、文書型の非来館型サービスを展開する上で効果的ではないだろうか。

 図表6-4 個人的インターネット環境の非保有者はFAXが使えるか

 

 

7 まとめ

 

 全国で見ると、自宅のパソコンによるインターネット利用者が2割、携帯電話によるインターネット利用者が1割に対して、FAXの普及率は3割。上福岡市でも同様の数値が出ている。

 アンケート回答者は、おおむね累積登録者や調査期間の来館者の傾向を表していた。女性が男性の2倍、市外登録者が1/4で、夏休みのため普段は来ない中高生と30代も多く回答している。

 「利用者アンケート」では、自宅のパソコンでのインターネット利用者は3割、FAXの普及率は5割だが、メールアドレスは半数近くを占める等、「個人的インターネット環境保有層」は5割となる。

 「個人的インターネット環境保有層」は、明らかに2030代が多い(FAXも保有)。インターネット経験もなくFAXももたない層は27.8%にものぼる。60代が目立つが2040代、中高生にもいる。

 個人的インターネット環境をもっておらず、FAXが利用できるのは20.0%。これを高いと見るか低いと見るかは微妙な判断である。内訳は実数では中高生・小学生以下・30代もいるが、50代・60代のFAX保有層に注目したい。全体からするとハードウェア環境の整備自体不十分な率が高い年代であるので、インターネット環境よりもFAXの導入の方が容易であると考えられるためである。

 

 上福岡市図書館協議会及び上福岡市立上福岡図書館には「アンケート」データの提供などご協力をいただいた。記して、謝意を捧げる。

 

参考文献一覧

  • Sloan, Bernie (1998). “Service Perspectives for the Digital Library”. Library Trends, 47(1), pp.117-143
  • 植松貞夫、緒方みどり 1985年). 「複数館設置都市における登録者の利用状況:千葉県柏市立図書館調査を通して」. 日本図書館学会『図書館学会年報』, 31(3), pp.122-133 
  • 日本情報処理開発協会 2001年). 『情報化白書2001』東京: コンピュータ・エージ社, 510p.
  • 上福岡市図書館利用者懇談会編集委員会 1994年). 『軌跡 ─市民図書館への歩み─』埼玉県上福岡市: 上福岡市図書館利用者懇談会, 3,67p.
  • 上福岡市教育委員会社会教育課 2000年). 『上福岡市の社会教育 平成11年度』埼玉県上福岡市: 上福岡市総務部庶務課, 108p.
  • 日本図書館協会図書館調査委員会 2000年). 『日本の図書館 統計と名簿2000』東京, 日本図書館協会, 507p.
  • 上福岡市総務部情報推進室 2001年). 『上福岡市情報化基本計画』埼玉県上福岡市: 上福岡市, 5,75,19p.



戻る