まえがき


『情報社会試論』も5号をにまで発展した。4号は、本年3月に刊行された。通常なら5号は来年3月ごろの刊行になるはずであるが、今年は関口が海外に出るので、院生たちにはっぱをかけ、出発前にまとめてもらった。というわけで、次号は2001年のはじめになるであろう。
この雑誌はご覧のように手作りである。院生たちが、それぞれ自分の論文について自分で割付けをし、校正・校閲をし、プリンターの設定をして印刷をしている。それぞれの論文の、内容のみならず、見栄えの出来不出来も執筆者本人の才覚と力量と責任である。その後、各人のプリントアウトしたものを集めて共同で、手作業で綴じ、製本をしている。なかには不手際な製本をしてしまったものもあろう。
現代の社会ではなんでもかでも機械化されてしまっている。機械化はきれいな作業をする。大量生産・画一製品の生産には適している。今回も、世の中A版に紙が統一される傾向にあるなかで、B5版の印刷のできるプリンターを探すのに苦労した。機械化、分業化の進行は大量生産・画一製品の生産には適しているが、このように小回りがきかない。ちょうどコンピュータがそうであるように、はじめと終わりだけがわかっていても、中間の過程はブラックボックスである。
しかし、全過程がわからなくては、根本的な大きな改良はできない。分業のすすんだ社会では、部分的な小さな改良はできるにしても、根本を変えるような画期的な改革は考案されにくい。工業社会から情報社会への転換のように、大きな変革を迫られているとき、役にたたない。先生、印刷屋に出さないのですか、という声も毎年聞かれるなかで、私は敢えて、貴重な機会だ、自分たちでやれ、と指示している。
なお、4号は、ホームページにも掲載してある。http://www.ulis.ac.jp/~sekiguch/johoshak/vol4/ である。5号も順次ホームページ化する予定である。それぞれの執筆者にしてもらうので、もう少々お待ちいただきたい。


1999年7月27日
関口礼子
情報社会試論 Vol. 5 (1999)