サイバネティクスはその成り立ち以来、様々な事象を循環的なシステムという概念で捉える、学際的な取り組みとしてあった。『システムとサイバネティクスの思想』(西田洋平編,コロナ社,2026年2月刊行予定) は、その学問的潮流の背景から歴史的展開、そしてネオ・サイバネティクス(セカンドオーダー・サイバネティクス)と呼ばれる認識論的転回を経て、現在に至るまでの歩みを様々な角度から紹介している。
本公開研究会では、その中から特に「デザイン」に関わるテーマで書かれた2つの章の内容をもとに、「学際的実践の基礎理論」としてのサイバネティクスの意義について考える。それは、自分たちの学問的な営み自体を理論と実践の循環システムとして捉えた、セカンドオーダー・サイバネティクスの歴史的な原点とも重なる。また、そのような「学際的実践の基礎理論」としてのサイバネティクスすなわちシステム論への関心は、いわゆる記号論・記号学に留まらない、日本記号学会の成り立ちや活動にも深く関わっている。
そして、歴史的な歩みを踏まえて今、我々が生きる環境として全面化したAIをはじめとする情報技術のあり方をめぐる問題──我々自身を含めた生命・社会・技術のあり方の問題──について、基礎情報学をはじめとするネオ・サイバネティクスの最新の知見を踏まえて、今後の可能性を描いていきたい。