本発表の目的は,従来の文学研究,文芸評論の方法論的限界を指摘し,2000年代に提起された議論を更新することである。「近代文学の終わり」以降に登場してきた新しい文学に関する種々の議論は,ポストモダンのテクスト至上主義に対する,批判的意義を有している一方で,これまで十分な検討がなされているとはいえない。
本発表では,「情報」という観点から,従来の記号論的な分析ではなく,ネオ・サイバネティクスによる文学システム論を用いる。その際,自律的な認知主体である,われわれの構成主義的な面に着目する。